潰瘍性大腸炎の治療方法は多岐にわたります。今回はななな自身の治療経歴(効果と副作用)と、治療にあたっての私の心構えをまとめてみました。



瘍性大腸炎の「治療経験まとめ」と「治療の心構え」ななな.ver

2012年、私が23歳の時に難病「潰瘍性大腸炎」と診断されました。それから9年間、寛解と再燃を繰り返しています。その間どのような治療を経験し、どんな効果があったのかをまとめてみました。そこから見えてくることや、病気に対しての心構えを記事にします。潰瘍性大腸炎と診断されて、これから先どんな風に治していくのだろう、と将来が気になったり、心配になった方の参考になればと思います。

※薬名は一般的に通じている「商品名」の方にしておきました。薬効の詳細は省きますので知りたい方は薬名からリンクで飛んでください。
また、薬の効き方や副作用は個人差があります。今回はあくまでも「ななな」の場合であり、個人の感想であることをご留意ください


■なななの潰瘍性大腸炎の治療まとめ(時系列)
薬剤名アサコール錠400mg ×9錠
使用時期H24~現在まで
成分・効能 5-ASA製剤(メサラジン)。腸の炎症を抑え、症状を改善する。
なななへの効果処方された当初はよく効いていたが、数年後には効果を発揮しなくなった。 他の薬との併用で、ほぼずっと飲み続けている。
なななの副作用 特になし
薬剤名ミヤBM錠
使用時期H24~現在まで
成分・効能 腸内に乳酸菌などを補うことで腸内環境を整え、下痢、便秘、腹部膨満などの消化器症状を改善する。
なななへの効果これ単体では服用していないため効果は不明。他の薬との併用で、ほぼずっと飲み続けている。
なななの副作用 特になし
※H25~H26 寛解と同時に薬を自己判断で中断。2年近く寛解状態が続くも、その後再燃※
薬剤名メサラジン注腸1g
使用時期H27
成分・効能5-ASA製剤。腸の炎症を抑え、症状を改善する。 注腸タイプで患部に直接届ける
なななへの効果腸の中に薬を保っていられず、効果も感じられなかったので約1ヶ月で服用中止。
なななの副作用 特になし
薬剤名プレドニゾロン錠5mg、MAXで6錠(30mg)
使用時期H27、 28、H31
成分・効能ステロイド内服薬。抗炎症作用、免疫抑制作用などにより効果を現す。
なななへの効果服用後数日で炎症が治る。効果が現れるのがダントツで早い。
なななの副作用 不眠、食欲増進もしくは減退、 増毛、ムーンフェイス etc
薬剤名イムラン錠50mg
使用時期H27、 28、H31
成分・効能免疫抑制作用のある薬。炎症を引き起こすリンパ球の増殖を抑え、自己免疫疾患の症状を改善する。
なななへの効果プレドニゾロンと併用。これだけで腸の炎症に効いた!と言う感じはしなかった。
なななの副作用 少しのどがイガイガする、喉の渇き、頻尿が顕著に現れた
※H28の夏頃にグルテンフリー開始で寛解し、自己判断で薬を中断。その後3年近く寛解状態が続くが、のちに再燃。※
薬剤名リアルダ錠1200mg
使用時期H31
成分・効能 5-ASA製剤(メサラジン)。腸の炎症を抑え、症状を改善する。
なななへの効果薬剤のコーティング剤が体質に合わず、1週間で服用中止。薬自体の効果は不明。
なななの副作用 下痢が悪化した(体質に合わないため)
薬剤名レクタブル2mg注腸フォーム
使用時期H31
成分・効能 ステロイドの注腸剤。抗炎症作用、免疫抑制作用などにより効果を現す。直腸、S状結腸までの範囲に有効。
なななへの効果わずかに効いているかな?と言う印象。使用自体は楽だが、症状が重たい時に注入するとすぐに出てしまった。
なななの副作用 特になし
薬剤名G-CAP療法(顆粒球吸着療法)
使用時期H31、R02
成分・効能 人工透析の要領で、患者の血液を特殊なフィルターに通して活性化した顆粒球を取り除き、炎症を治める療法。
なななへの効果この治療法だけでの効果は感じられなかった。
なななの副作用 薬剤を使用するわけではないので副作用は無い。が、脱血と返血で腕が内出血。あざになると痛むことも。
薬剤名エンタイビオ点滴静注300mg
使用時期R02
成分・効能 中等症〜重症の患者の用いる生物学的製剤。炎症を引き起こすリンパ球が大腸に入りすぎないようにすることで症状を抑える。
なななへの効果ほとんど効果を感じられず、3クール(6週間)で服用を中止。
なななの副作用 特になし
薬剤名レミケード点滴静注100
使用時期R03
成分・効能 中等症〜重症の患者の用いる生物学的製剤。炎症を引き起こす体内物質のTNFαの作用を抑え、症状を抑える。
なななへの効果症状は多少改善された。が、完全に腸の炎症が治めることができず、3クール(6週間)で服用を中止。
なななの副作用 点滴後数日内に急激な高熱、感染症罹患、上半身の発疹、そのほか突発的な体調の異変が複数
薬剤名ゼルヤンツ錠5mg
使用時期R03
成分・効能 中等症〜重症の患者の用いる生物学的製剤。JAKという酵素を阻害し免疫反応に関わるサイトカインの働きを抑え、症状を抑える。
なななへの効果腸の炎症値が完全に正常に。下痢などの症状も徐々に改善が見られ、効果が認められたので継続して服用中。
なななの副作用 特になし


と言うことで、潰瘍性大腸炎の診断・治療のガイドラインに沿って治療を進めています。

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■治療を振り返ってみて分かったこと

①治療の勝手な中断は危険
②どの薬が効くかはその人次第、試してみるしかない
③薬による治療を日々の生活の中でバックアップする事は可能

①治療の勝手な中断は危険

寛解になるとたびたび自己判断で薬の服用を中断した私。しかし残念ながらその後再燃しています。UC患者が自己判断で治療を中断した場合と、継続して薬を服用した時の「10年間の再燃率」を調査したところ、「中断した人」の方が再燃率が高いという結果が出たそうです。(出典:慶應義塾大学IBDセンターHP

寛解期であっても、服用すべき薬は必ず続けることが必要です。



②どの薬が効くかはその人次第、試してみるしかない

症状の程度やその人の体質などによって、どの薬が効果を発揮するかは分かりません。これはもう、試してみるしか無いようです。薬の種類によって速攻で効果が現れるものもあれば、数週間などの単位で徐々に効き出すものもあります。なかなか自分に合った薬が見つからないと不安になりますが、UCは世界中で研究が進み、多くの薬が治療薬として認可されていっています。試してみて効果がなかったら次!それくらいの軽い気持ちで挑戦してみていいと思います。



③薬による治療を日々の生活の中でバックアップする事は可能

治療に関しては「薬を飲む」などの内科的治療が中心となりますが、なかなか効果が出ないと焦りや不安、そして長引く辛い症状にストレスも溜まってしまいます。「潰瘍性大腸炎の患者さんには真面目な人が多い」そうですが!(元主治医談)、それゆえストレスのかかる状態でも我慢してしまい、余計に症状を悪化させたり回復が遅れてしまうことも考えられますよね。実際、心理的ストレスが腸内環境を悪化させるという研究結果も出ています。(出典:マイナビニュース/北大、心理的ストレスが腸内細菌叢にも異常を誘発するメカニズムを解明

活動期(腸に炎症がある時)は、家庭や職場で周りの人の理解を得て、なるべく心身共に負担の少ない環境を整えることは大切だと思います。ちょっとくらい図々しく自分の身体を優先させましょう。加えて「どうにかなる」と言う楽観的なマインドも必要です。不安はいくら悩んでも解消しないどころか、心理的ストレスになりお腹に悪影響です。不安な気持ちを言葉にして吐き出してしまったり、「どうにかなるさ!」と言葉にくり返すだけでもマインドは変わります。

これらの「負担の少ない環境」と「楽観的マインド」を持つことは、ストレスを軽減し治療のバックアップにつながります。可能な範囲でそれらを追求してみましょう。というか、していいんです!

他にも規則正しい生活や適度な運動など、「健康に努める」ことも早く寛解を迎えるためには必要です。当然ですが腸が弱っているのだから暴飲暴食はNG!活動期の食生活に関する情報は、

などを参考にしてみてください。たくさんのレシピが無料で公開されています。また、「UCと食事」についての記事もご参考ください。

ただし、あまりにも症状が悪い場合などは自己判断せず主治医に相談しましょうね。

病院の診察で何を言えば良いのか分からない、うまく伝えられない!そんな方はこちらの記事をご参考ください( ^ω^ )



■わたしの治療の心構え

潰瘍性大腸炎は「腹痛」、「下痢」や「便意切迫」など、社会で生きていく上で非常に厄介な症状を現します。その厄介さには「他の人には伝わりづらい」「伝えづらい」といった面も。体調が悪いと言うだけでもシンドイのに、「外でトイレに行きたくなったらどうしよう」と言う心理的ストレスも本当に辛いものがありますよね。

残念がながら「潰瘍性大腸炎」はなぜ起こるのか、はっきりとした原因はまだわかっていません。なので根本的な治療法もありません。ですが潰瘍性大腸炎を含む「炎症性腸疾患」の研究は日々世界中で行われています。これらの病気の根本的治療方法も、近い将来発見されるかも知れません。そうでなくとも抜群に効果的な薬が登場することもあり得ます。

潰瘍性大腸炎に対する内科的治療法(薬による治療)は確実に進歩している、ならばなるべくこの大腸を温存しておいて、その「よく効く薬」が出るのを待とう!これが、現在の私のスタンスです。

それと同時に、もしかしたら薬などに頼らなくてもこの症状を現れなくする「何か」があるかも知れません(何らかの生活習慣の改善だったり、瞑想といった心理的方法だったり…)それらも薬と同様に何が効くかは人によって違うかも知れない。とにかく可能性がゼロでないなら、自分ができる範囲で探求してみる価値はあると思っています。

もちろんそんな悠長なことを言ってられない状況が来たら、「大腸摘出」と言う外科的治療も必要です。そうなったらそうなったで、また前を向いて歩むしかありませんからね。その時々でベストを尽くしていればいいのかなと考えています。

この病気を診断されて間もない頃、「将来は(よくならなければ)大腸を取ることになるかもね」と言う医者の一言で私は奈落の底に落とされる思いをしました。そんなことになるくらいなら死んだ方がマシとまで考えた時もありました。結局20代の大半はこの病気に振り回されていた状態です。

しかし発症から約10年、なんだかんだでまだ大腸は私のお腹の中にあります。

現在も再燃中で自宅療養なぞしておりますが、大切な家族もできて自分は幸せ者だと思っています。あの時早まったことしてなくて良かった、と( ^ω^;)


背負うことになってしまった「腸が弱いという1つのハンデ」。まあ、それは仕方ないことかも知れない。じゃあそのハンデがハンデにならないようにする、そのことにも注力していこう!と、最近は病気への見方が少し変わりました。
もちろん1日でも早く寛解したいし、できることなら「完治」させたいです。ただ、もしそれができない未来であったとしても、自分らしく楽しく生きるために出来ることを探し、コツコツと前に進んでいこうと思っています。人生なるようにしかならないから、あんまり気負わずにいきましょう(笑)
そして、そんな自分を支え見守ってくれる大切な人たちや、サポートしてくれる人たちへの感謝も忘れずにいたいものです。



潰瘍性大腸炎との格闘を描いた闘病エッセイコミックもよろしければお読みください♪

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